惜しくも無期限の活動休止に入ってしまったリオの新世代ロック・バンド - ロス・エルマーノス。「さよなら」ライヴと銘打たれて唯2回程リオ・デ・ジャネイロ/フンヂサォン・プログレッソで催されたライヴ音源(07/06/09) がCD化となって入荷して参りました。現時点で最後のスタジオ盤となってしまった「4」からの"Dois Barcos"で始まり、スカリプソな要素を盛り込んだ"Retrato Pra Iaia" (「Bloco do eu sozinho」2nd 収録)、ポスト・ロック世代のアンセム"O Vento"、もちろん大合唱が巻き起こる”O Vencedor"( 「Ventura 」3rd収録)、曲名通り男泣きの”Sentimental"、1st からのバンド躍進のきっかけとなった大ヒット”Anna Julia"と本当に封印してしまうのかこの曲達を!?と憤りも隠せない熱狂のライヴ盤。5年くらい前に来日しお台場かどこかで日曜の深夜にライヴをやっていた、という事実を後から知った時と同じくらいに切ないです。サンバ・カンサォン + エモ・コア なんて評されていたのも納得の哀愁に満ちた歌と、ソロ・シンガー達- マリア・ヒタやホベルト・サーが採り上げる程に高い求心性を持った秀逸なコンポージング。おもむろにリズムを露にせずとも、身体に染み付いているサンバの感覚はあえて鍵盤楽器を使わずにg, g, b, drs にホーンで音の隙間、息吹を活かしたアンサンブルにも現れているように思います。なによりこの後ろへ後ろへとアクセントを置いて行く様な独特のノリはこのバンドの絶対的な持ち味の一つ。欧米の、そして欧米に感化された日本のミュージシャンには決して出せない味です。
この4人編成バンドの二大コンポーザー、マルセロ・カメロ(タンバ・トリオ- ベベートの甥でもある)は満を持してソロ作 Sou を発表、ホドリゴ・アマランチは大所帯の混合音楽集団オルケスタ・インペリアルの一員として、ストロークスのメンバーとの新バンド - リトル・ジョイ、またフェルナンダ・タカイと曲を共作しているとのニュースも入ってきています。ロス・エルマーノスとして一旦は活動を停止するものの、ソロや各ユニットを経由してまたこの逸品を聴かせてくれることを信じたいと思います。4人が皆ひげ面で区別がつかない風貌は別として、なにせまだ皆、30歳前後で若さに満ちあふれていますから。
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