イーリャ・クリャッキ&ザ・ヴァルデラマスで馴らしたエマニュエル・オルビジェウルの弟にあたり、父は著名なフォトグラファー、ディラン・マルティー。その父が家で掛けるスピネッタやパッポ、ブライアン・ウイルソンからYMOと多様な音楽素養を培養、16歳位からティラドール・ラーセルで活動、結果的にバンドとしてはラスト作となってしまった
「El Titulo Es Secreto」で英国アノラック系インディー・ポップへの究極の回答を献上してみせ、その敏腕に惚れ惚れさせたのも束の間。「El Titulo~」で手を貸していた”スアベスタル”のジュル・アクリ(key)、元”エル・オレオ”のアマデオ・パーサ(cho)ら、ほんの少しのゲスト・プレイヤーのみの文字通りシンプルな陣容で全てのトラックを作成、リーディング・トラックm-1に始まり、m-4、m-7とN.W.的な前のめりに突っ込んだダンサブルなエレクトロ・ビート、時折さりげなく使われる変拍子、癖にしてしまうストレンジな楽曲構成、空間の捻れを解いてゆくかのような一風変わった音使いと、幾重にも絡み合う多重録音されたアイロニカルなメロディーをソフィスケイトされた言葉が辿る。この「Simplemente」でルーカス・マルティーの研ぎすまされたポップ感覚は更に先へと進んでしまっている。
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Lucas Marti / 1er y Ultimo acto de Nocion