ミナス出身のS.S.W.で
ソロとして良作を発表しているゼー・エウデルと、アメリカのボブ・ブロウズマンやウッディ・マンとの仕事もしているヒカルド・ヴィギニーニ、内陸部のテイストを残しつつも革新的なムジカ・カイピーラを奏でるマトゥト・モデルノでのバンド活動を通じてMPB界にきちんと足跡を残しているふたりのカイピーラ・ギター奏者が'07年に結成したインスト・カイピーラ・ギター・デュオのプロジェクトがモーダ・ヂ・ホッキ。まさにブラジルのカントリー・ミュージックと呼ばれるほどに牧歌的な、カイピーラ・ギターの音色のみで往年のメタル・チューンをカヴァーしてしまおうというのですから驚きです。ブラジルが誇る重厚メタル・バンドのセパルトゥラに始まり、スレイヤー"Raining Blood"、アコーディオン奏者も参加したブラック・サバス"Laguna Sunrise"、AC/DC"Thunderstruck"、メタリカ"Fade the Airway"、アイアン・メイデン"Wasted Years"などをカイピーラ・ギター二本でカヴァー。これら意表をついたメタルのカヴァーだけでなく、開放弦のビリつきをシタールに見立てたり、ボトルネック奏法やイフェクトを用いたりもするロック・クラシックのピンク・フロイド"Fearless"、ストーンズ"Paint it Black"、クイーン"I want to Break Free" などは流石にカイピーラを知り尽くした者ならではの解釈。真剣なのですがどこか可笑しさが綻びだすPVの作りも秀逸。