フォルクローレやタンゴをベースに現代音楽からインプロ・ジャズまで含有するコンテンポラリー・アートなインスト音楽。驚愕のテクニックを持ち、それを一つの美しく澄んだ音楽の流れにさりげなく溶かし込めることのできる、ミュージシャンというより音楽家といった方が相応しい存在がこのギタリスト/コンポーザー、キケ・シネシ( '60 BsAs 生 ) 。ラプラタ音楽をテーマに話題のカルロス・アギーレと共演したり、クラリネット奏者のマルセロ・モギレフスキーとのデュオ・アルバムが評判となったり、遡ればドイツでリリースされた国際的なジャズメンのチャーリー・マリアーノ(s)、マルクス・ストックハウゼン(tp) との共演盤が大きな評価を得たりで、ここ日本でも生ギター、クラシック・ギター・プレイヤーのマエストロとまで崇められる存在です。さて新しく録音された今作は多くのフォルクロリスタ、ミュージシャンから敬愛される偉大な作詞家/コンポーザー - グスタボ・”クチ”・レギサモンの作品の哲学的感性と、水彩画のようなタッチで描かれる21世紀のフォルクローレ流儀が出会うという注目の作品。ナイロン弦の7弦ギターを絶妙なタッチで奏でるシネシの技と一音ごとに込められた魂の響きにハッとさせられます。女流ピアノ奏者/シンガーのノラ・サルモリアがvo を取るChacarera del Nolgadoともう一曲を除き、ギター+一つ二つの楽器のみという少ない音数のインストゥルメンタルながら、フアン・ファルー(g)、サンチアゴ・バスケス(per)、M.モギレフスキー(笛、cla)、ルシアナ・フリィ(vo)、オラシオ・ロペス(drs)、マチアス・ゴンサレス(acoustic bass)と曲毎に異なるゲストを迎えて、化学反応を起こしています。