エキゾチックで神秘的、深みと迫力を兼ね備えた女性シンガー- マリア・アルシーナのアルバムは、これぞサン・パウロの現在。ダブからサイケ・ロック、サンバにマルシャ(マーチ)まで採り込んだ骨太インテリジェンスなエレクトロ・サウンドに包まれて。
'72年の”Fio Maravilha"(Jorge Ben)で歌謡祭を勝ち取り、"Kid Cavaquinho"(Joao Bosco)のヒットもお供に歌手として一時代を築き上げたマリア・アルシーナ。女王カルメン・ミランダと比較されることもしばしば。
エクスペリメンタル/ポスト・ロックのバンド- ボジョと取り組んだエレクトロ路線の前作に引き続いて、今作もボジョのリーダーにしてヴァングァルダ・パウリスタ・ムーヴメントの昔からサンパウロ・インディペンデント界を牽引するマウリシオ・ブッサビがプロデュース。パウリーニョ・ダ・ヴィオラのサンバ曲"Roendo As Unhas"にトン・ゼー=ロー・ボルジス曲の"Acucar Sugar"、セルジオ・サンパイオにホゼリ・マルチンス、ヴァド、バイーア出身ホネイ・ジョルジの書き下ろし”O Drama".....新旧の世代も入り交じった人らによる曲を一,二捻りツイストを加えてアウトプット。生楽器とテクノロジー、ブラジルのルーツと新しさ、絶妙なバランス感覚を保ちながら、ボジョの面々にサイケ・ロックのヌミスマタ、エレトロニカ・バンド- アシアウのフェリーペ・ジュアン、セレブロ・エレトロニコのタタ・アエロプラーノらが曲毎にアイディアを積みながらバックを務めます。バイーア出身モイゼス・サンタナのマルシャ”Espaco Sideral"やトリオ・エレトリコ讃歌"Das Tripas, Caracao" は09年のカーニヴァル・シーズンに一石を投じたことでしょう。