現在30代の終盤に差し掛かるコントラバス奏者マルコス・パイーヴァがリーダーとなり、ピアノやギターなどの和音楽器を一切介さないトリオで編んだ叙情と緊迫したインプロで往来する、新しさを感じさせるブラジリアン・ジャズのかたち。ポルトガル人歌手のテレーザ・サルゲイロ(元マドレデウス)のバックでブラジル国外をツアーで廻り、見えた音楽の風景。それは論理的に構築されたコンテンポラリー・ジャズ・アンサンブルとなって自身3枚目となるアルバムへと結実しました。語りかけるようなベース・ソロ、テンポを抑えた楽曲の雄弁な語り口から、セーザル・ホヴェルシ(ss) との駆け引き、ジョアン・タウブキン・トリオでも活躍するブルーノ・テッセリ(drs) とのフレーヴォやサンバ・ジャズを取り込んだめくるめくリズム展開。キューバの亡きベーシスト(マンボの創始者カチャオ・ロペス)や往年の北米ジャズ・プレイヤーたちにオマージュを捧げたりと、拓けた視野によって生み出される楽曲たち。