クラフト紙の封筒にひとつひとつマジックにより手書きされたアート・ワークにスタンプ。でこぼこシールで封された中にはこれも手書きで記された盤面と、ピンク色の紙にコピーされた手書きのクレジット。ひとつひとつの図柄がことなる完全に手作りの商品です。しかし、サウンドの方は温かみのあるサウンドにてプロダクションされたフォーキー・アルゼンチン女性SSWもの。
骨董品屋さんの女主人とトランペット奏者の父の間で、'89年ブエノス・アイレスの生まれ。幼少の頃からヴァイオリンやトランペットの教室にも通ったり、舞台のパフォーマンスを経験、ポピュラー音楽の学校に入学した16の頃から唄い始めたそう。ギターとハーモニカを手におどけたタンゴをバーで披露したところ、レギュラーの仕事を勝ちとります。以来、パレルモなどでインディペンデントな演奏活動を続け、映像プロジェクト - ソニード・アンビエンテなど周辺も賑やかになっています。ハイポジションにカポタストを付けたりした生ギターやチャランゴン、これら和んだ響きを持った弦楽器をルーツのリズムで掻き鳴らしながら耳に残る独特の個性を持った声で唄い上げるさまは、古のシャンソン歌手のようでもあり、音楽が身近なアルゼンチンを始め南米諸国でも高いレベルのエンターテイメント性を誇るのでは。m-1 "areves mejias" ではチャカレーラのように聴こえるアルゼンチンのルーツ・リズムがアコーディオンの浮遊する旋律と寄り添うことでカリブ海あたりラテン圏の音楽かなと思わせますし、まどろむような表情のm-3 "galactica y mal" など往年のニューオーリンズ・ジャズやリズム&ブルースの要素と、アルゼンチン音楽の叙情性が見事に溶け合った”アコースティック音楽の冒険”が詰まっています。まるでロード・ムービーで物語が展開していくように詩情たっぷりのm-5"Uruguai"、ハープの音色とスキャットで遠い異国の情緒を演出する"Dime Simon"、のどかなオーセンティック・クンビア”no me des marca"...このオリジナリティに溢れた音楽性の引き出しは”ひとを楽しませるため”だけに唄を作るソフィア・ビオラの意気を感じます。プロデュースのバイオ・バロス、マルチ奏者のマルティン・スス、少ない音数の中で活きたアレンジを施す仲間たちにも拍手を。そしてこの難解なアルバム・タイトルには副題が付いています「私たちは虹へと続く道中で自分自身を愛さねばなりません」。
こんなパフォーマンスも。
収録曲
1. Aceves Mejia
2. Caca En La Cabeza
3. Galactica Y Real
4. Urruguai
5. Dime Simon
6. Nicanor
7. No Me Des Merca
8. Sin Pensamiento
9. Vals De La Muerte
10. Muna Munanqui