「フォーク・インダストリアル・メディア・フリーク・オン・ザ・スタイル」
アルゼンチンのアート・フォーキーな佇まいのシンガー・ソングライター - シロ・ベルセッチェの新譜が面白い。
第一印象ではエクスペリメンタル・フォークの祖 /鉄弦アコースティック・ギター・フィンガリング の音響的な奏法を発明したジョン・フェイヒーの流れと、南米のボブ・ディランと呼ばれたレオン・ヒエコの影響やブエノス・アイレス・インディペンデント・シーンで同時代ミュージシャンのコワフールらのようにレオ・ガルシアからのポップ感覚をも持ち合わせています。シロ・ベルセッチェは"~メディア・フリーク~”と名乗るだけあって、自身のPVは固よりアルヴィ・シンガー、ロサル、マルセロ・エスキアーガ、トマス・レブレロら周辺のミュージシャンらのビデオ作品を撮っている映像作家としての顔も。2nd となるアルバム「DOIDO」(ポルトガル語で”気違いじみた”の意味)では、湧き出る想像力を具現化するかのようにアコースティック・ギターのループするアルペジオに詩的な歌が載り、向こうには風のそよぐ音、牛や鳥に虫たちの鳴き声、チェロに、バンジョー、ハープにグロッケンや様々なパーカッションが過ぎ去る車窓の風景のごとく現れては消えて行きます。ダブ・ユニットのナイロビにゲストという形態で世界的ロック・フェスのグラストンベリーへ今回出演を果たすというこのシロ・ベルセッチェ、音源の中で緩やかに広大な彼の世界観に触れてみて下さい。