同じくラ・プラタの新世代フォルクロリコ - ビーチョフェオ・トリオのパーカッション、またサンチアゴ・バスケスが主宰する打楽器集団ラ・ボンバ・デ・ティエンポのショーにも参加するディエゴ・サンチェスを含むトリオ編成、瑞々しさが溢れ出すアコースティック音楽のルスベール。
澄んだギターの音色と美しく唄い上げる新鮮な旋律、どっしりと根を張り対旋律を刻むベース・ラインと自然界に存在する音色を抽出したように特異なドラム・キット。ここにボディ・パーカッション+ポリフォニーや、トーキング・ヘッズを思わせるホワイト・ファンクなど遊び心満載の試みが巧妙に溶け合い、新しい世代ならではのアイデンティティを提示してゆきます。ラ・プラタの地に横たわる川沿い音楽のエッセンス、コンテンポラリー・フォルクローレをベースに、音楽の喜びに活き活きと自らのメロディを刻む3人... バークリー音楽院と音楽研究センター(CEM)の双方で現代音楽を学び、フォルクローレのトリオからクラシックにジャズやファンクと幅広いバックボーンで活動するファビアン・ビジャミル (vo, g) のソロ活動('05~) を発端とし、ゆったりとした"infinito y total"では流麗なeピアノも聞かせるエウへニオ・マサ(b, cho)、ビーチョフェオ・トリオやそこにもゲスト参加している女性SSWヘアニンネ・マルティンとのユニットなどで活躍するディエゴ・サンチェス(drs, per) と、自分たちの出身地の音楽を噛みしめながら更なる発展を担う音楽家たちが集う、なんと潤沢で文化的な街なのか、と最近のラ・プラタ産アコースティック音楽には驚かずには居れません。フォルクローレの複合リズムと透き通ったファルセットが鋭敏に姿を変え行く"el fallo de la suerte" ではアカセカ・トリオのマリアノ・カンテーロがゲスト参加。豊かな河の水面に煌めく陽光のように穏やかさを携えた"la nina" はフアン・オルティスの詩に曲をつけたもの、eギターのアルペジオのなかヘルマン・ヘッセの代表作"シッダールタ”の抜粋を吟唱する"mia alma" など詩的エッセンスも充分に孕みながら、"viento y olvido"などファビアン・ビジャミルの傑作コンポージングが光ります。
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