サンパウロの文学博士によるマイルドなジャズvoと異色のレパートリー、上質なアンサンブル
熟成されたモルト・ウイスキーのような燻したまろやかさと、開いた本から飛び込んでくる活字のごとき弁者の口跡。'54年サンパウロはチエテーの生まれで、短歌や俳諧の本から、アイルランドの作家に関する考察まで数多くの著書を出版、ブラジル文学界にてその名をよく知られるマルセロ・タピアの音楽家として初となるまとまった作品が本アルバム。前世紀前半に活躍した弁護士/詩人ギリェルミ・ヂ・アルメイダの詩作とヴィラ=ロボス作曲のm-2 "Desejo"のエキセントリックな編曲、18世紀の詩人シルヴァ・アルヴァレンガの詩にマルセロ・タピアが節をつけたもの(m-4"O Amante Satisfeiro")、ベートーベンのピアノ・ソナタ"悲愴"にマルセロ・タピアが歌詞を載せたm-7"Pérola"、m-5"Wild is the wind"やm-8"Sugar in my bowl"などニーナ・シモンのレパートリー、そしてノエル・ホーザやアドニラン・バルボーザといったサンビスタの作品、そしてマルセロの兄弟でしょうか、ギター/クラリネット奏者でヒカルド・ヘルスらの作品をプロデュースもしているダニエル・タピアとの共作も。これらを洗練されたジャズ・アレンジの優美さで聴かせるのが、前述のダニエル(g)に、若手ピアノ奏者として頭角を表すエルクリス・ゴメス(p)や、ピアノとのデュオ作で驚かされたマルコス・パイーヴァ(contrabass)、ヂエゴ・リスボア(sax,flute)、ハモン・モンタンニェル(drs) らコンテンポラリーなブラジリアン・ジャズで活躍する演奏陣。制作に3年を掛けた、リリシズム溢れる不朽の一枚。
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