2020/6/1再入荷しました。
ネルソン・カヴァキーニョに影響を受けた哀しみのサンバと現代的なエッセンスを融合させ、ソロ作に、ユニットーパッソ・トルトにと活躍するサンパウロのシンガー・ソングライター - ホムロ・フローエス。彼や盟友ホドリゴ・カンポスらをご紹介さしあげる際に当店ではエクスペリ・サンバということばをキーワードに用いてきましたが、2枚のアルバムを発表しているパッソ・トルトで打楽器を一切用いずに制作するようになり、その後に制作されたホムロのソロである本作ではサンパウロなど都会の喧噪とミックスされた"醜いノイズ"をテーマにした作品となっており、前4作より一層アヴァンギャルドな一枚となっています。
このアルバムにて最初に響き渡るのはヴェロニカ・フェヒアーニのバックにて来日経験を持つチアゴ・フランサのサックスのブロウ。パッソ・トルトでも共に活動するマルセロ・カブラルのコントラバスとホムロ・フローエスによる生ギターのバチーダと慈愛を覚えるバリトン・ヴォイス。坦々と紡がれる内省的なメロディにクロスオーヴァーしてくる街の音(ノイズ)。YBスタジオでレコーディングしたものを町中で試聴した際に、この背景音がないのはおかしい、とノイズを被せることを発想したそう。マリオ・マンガの娘でもある女性S.S.W.マリアナ・アイダールやアリシ・コウチーニョら新たなリリック・ライターを迎え、アカペラでサンバ・カンサォン的なメロディを辿るm-5"Poeira"、ソロ作が現地で話題の女性シンガー-ジュサーラ・マルサルとアカデミックなデュエットを披露するm-7"Espera"などの新機軸もあり、フリー・ジャズやアヴァンなだけではない新たな音楽の冒険が詰まっています。黒地にラミネートで文字が浮き出るように加工された紙ジャケ・カヴァー、真っ黒のシルク印刷が施されたディスク・サーフェイス、ジュリオ・ドゥイに因るCD製品としてのプロダクト・デザインが暗部を照らし出すような内容の音源と呼応していて実に秀逸。
20世紀初頭のサンフランシスコの映像をモチーフにしたPV↓