17/8/17再入荷しました。
MPB界でトップ・クラスのキャリアを持つ木管奏者のコンビ、レア・フレイリ(flute, b.flute)とテコ・カルドーゾ(ss, bs, flute)にチアゴ・コスタのピアノで形成するたおやかで優美な輪舞曲を思わせる旋律、そして時にスリリングなインプロヴィゼーション。フェルナンド・デマルコ(contrabass)とコンポーザー/SSWとしても活動するエドゥ・ヒベイロ(drs) のクインテートにリリカルなスキャットを聴かせる女性ヴォーカリストのモニカ・サウマーゾ。ネルソン・カヴァキーニョ"Luz Negra" のオブスキュアな室内楽アレンジを含む前作1st アルバムはコンテンポラリー・ジャズの傑作として大きな話題となり、瞬く間に絶版状態となってしまいました。結成三年目にして制作された2ndの本作では、タイトル曲を含む冒頭2曲とそのリプライズ的な最終曲をチアゴ・コスタが、夫婦によるフルート二本の掛け合いとハーモニーと軽やかに転がるブラジル音楽のリズムが噛み合う様が爽快な"Danca das pipas" はレア・フレイリとテコ・カルドーゾの共作、メランコリアを多分に含んだワルツの"Angulosa"などテコ・カルドーゾ、レア・フレイリそれぞれの作品が幾つもあり、打楽器奏者エドゥ・ヒベイロ作の"Nivea"、とメンバー達による自作曲のみで占められています。
エドゥ・ロボ執筆のライナーノーツによると、ヴェント・エン・マデイラの音楽はガンサー・シュラーが'50年代に定義した"サード・ストリーム"、クラシック音楽とジャズ・インプロヴィゼーションを融合させた往年のジャズメンの仕事に匹敵するとのこと。そこにアルバム・タイトルも「Brasiliana」ということでジョビンの高度なボサ・ノヴァのヴォイシングや、マラカトゥやサンバなどのルーツ・リズムを室内楽アンサンブルの構成に置き換えたものを取り込んでゆきます。クラシカルな趣を感じさせる壮大なハーモニーと、変拍させることで生まれる場面転換と即興演奏、コンセプチュアルに描かれた木に吹く風はカヴァー・アートの凧を飛ばすがごとくに自在です。