日本でもアルバムの邦題から「ボサノヴァのミューズ」として知られるナラ・レオン。ボサ・ノヴァの創成期から時代の先頭を切って駆け抜けた女性表現者です。このナラの生誕60周年を記念したのが初期キャリア1964 ~ 1974を総括する2013年発表のコレクターズ・ボックスCD14枚組。
有名なエレンコ盤('64) のボーナス・トラックにはカルロス・リラのアルバム「Depois do carnaval」('62) でナラが唄っている二曲を収録、というようにアルバムと同年、或いは近しい年にレコーディングされた他のアーチストのアルバムや企画盤、サントラなどからナラが主役のトラックを抜粋してボーナスとして収め、さらにリマスターを施しています。エドゥ・ロボと唄う"Rosa da gente" やフランス語ヴァージョンの"Funeral de um lavrador" や"Opinio""Acander as velas"、スペイン語ヴァージョンのCarcar" "No me diga adeus"、ライヴ・ヴァージョンの"Diz que fui por ai" 、これらをスタジオ盤9作品にそれぞれ収録。(パリ録音ということでなのか、「美しきボサノヴァのミューズ Dez anos depois」は未収録です)またパウロ・アウトランらと行なわれた劇仕立てのショー「Liberdade, Liberdade」やナラ・レオン、エドゥ・ロボ、タンバ・トリオという並びで行なわれたライヴ盤「5 na bossa」もリマスターCD化されています。そして最もサプライズなプレゼントが、「Nara Rara」と題された2枚組のボーナスCD。シヂネイ・ミレールのアルバムで唄っていた曲から、子供向けシングル(7"レコード)でリリースされていた"Pinoquio"、そして何より嬉しいのが
4曲入シングル・レコードでリリースされた仏人SSW ジョルジュ・ムスタキの作品3曲にキャット・スティーヴンスの"父と子”、これらにナラ・レオンがポルトガル語詩を付けたものが完全収録されていること。フランスの誇る詩人の浮遊する特徴的なメロディを見事に捉えて自分のものとしています。その他にも"三月の水”のライヴ・ヴァージョンに、マリア・ベターニアやシコ・ブアルキと唄った映画"Quando o Carnaval Chegar" の曲たち、ファギネルのアルバムからナラの参加曲etc...充分に充実した素晴らしい内容です。