ブラジルのアコーディオン音楽というと北東部のダンス音楽 - フォホーが有名です。彼の地の音楽にはドミンギーニョスという音楽家がいまも活躍していますが、それより若い世代で現代音楽やジャズのフィーリングも持っているのが、このトニーニョ・フェハグッチ。南部 ヒオ・グランヂ・ド・スルはヴァカヒア出身、ガウーショのアコーディオン奏者、アレッサンドロ・クラーメルとのデュオでインストゥルメンタル・アコーディオンの素敵なアルバムをリリース。
2000年にラテン・グラミーの伝統音楽部門にノミネイトされ、ジルベルト・ジルやマリア・ベターニア、モニカ・サウマーゾ... 客演したアルバムやショーは枚挙に暇がありません。北東部ダンス音楽だけに限らず、ジャズやコンテンポラリーの世界に最もフィットする演奏をみせるのがこのトニーニョ・フェハグッチではないでしょうか。一方でアルゼンチン、パラグアイ、ブラジル南部と国を跨いだ大平原の水辺の音楽、チャマメに代表されるように南部でもアコーディオンの活躍する場面は多々あるのですが、ヴァカヒア出身のアコーディオン奏者ベベー・クラーメルもギンガやトニーニョ・オルタなど多くの音楽家たちと仕事をしてきたミュージシャンです。この二人が、文化機関SESCの招聘で「アコーディオンのためのコンテンポラリー音楽」プロジェクトを立ち上げブラジル南部・南東部をツアーしたのが、このアルバムの生まれるきっかけとなりました。ショーロやワルツをベースにどちらがどちらか分からないぐらい二台のアコーディオンが低音から高音まで入り混じり作り出すマジカルな音場、時には現代音楽的に不思議な感情も巻き起こします。インストゥルメンタル音楽を愛好されている方すべてにおすすめするアコーディオン決定盤。