アルゼンチン、ラ・プラタ出身の川沿い音楽をベースにした新世代フォルクロリコのグループ、カスターニャス・デ・カフー(=カシューナッツ)。全ての楽曲のコンポージングを手がけるフアン・パブロ・ドルセの柔らかな唄い口は、既存のルーツ音楽とは趣を異とするソフィスケイトされたもので、自身のクレオール・ギター、凪いだ風を吹き込むように澄み渡ったバンドネオンの音、ジャズ・フュージョンの手法で演奏される6弦ベース、カホンやジャンベにムビラの打楽器奏者とドラムス、5人のアンサンブルは非常にクレヴァーなアコースティック音楽となっています。ムルガのリズムに則ったm-1"cancion pa'l mate" 、チャカレーラのリズムとバンドネオン奏者が吹くクラリネットが共存して未知の広大な風景を見せるm-2”algo que la tierra conocio..."(=地球が知っていた何か)、チャマメのリズムとライライライというハミングから羽ばたくように展開してゆくm-3”vuelas"、水の風景を思い起こさせる”m-4"el velo"にはディジェリドゥの音を散りばめながらAORテイストの落ち着いた演奏にまとめあげる、と豊富なアイディアも然る事ながら、サラッと自然体で技をこなす小粋さも持ち合わせた素晴らしいグループです。m-6にはキューバ出身の女性ミュージシャン、ジューサがゲスト参加。m-7にはエルメート・トリビュートのバンダ・エルメティカやハビエル・アルビンを始め様々なプロジェクトに顔を覗かせる女性シンガー/鍵盤奏者のアナ・アルチェッティがムビラと唄で参加。カンドンベのリズムでしめくくるm-11にはアカセカ・トリオのマリアーノ・カンテーロが打楽器で参加、とゲスト陣も豪華です。首都ブエノス・アイレスのショーで共演したノラ・サルモリアやアカセカ周辺の音楽家たちも認める、新鮮な価値観を持ったグループの登場。