ハファエル・マルチーニら新世代のコンポーザーの作品をアンドレ・マルケスの前衛ビッグバンド・アレンジで解釈した女性シンガーの初作。
UNICAMP(カンピーナス大学) で音楽の修士号と言語学の学士を取得し、カルロス・ヂ・カンポス・ヂ・タトゥイー音楽院でポピュラー歌唱を履修、エルメート・パスコアルとの共演や自ら率いるトリオ・コヘンチでも知られるピアノ奏者アンドレ・マルケスに即興の師事を受けた女性アーチスト、マルチナ・マラナ。2019年に発表した「Eu toco mal」での自作自演が評判となった彼女ですが、今回ご紹介するのは新曲のデジタル配信に合わせ流通が開始された、2014年録音のデビュー・アルバム。エドゥアルド・グヂン"Apaixonada"、ペドロ・イヴォ"As mãos de Yamanjá" 、ホドリゴ・ドゥアルチとマルチナの共作"Canção eólia"、ハファエル・マルチーニ" Além mar" 、ネネー"Última valsa de Elis" などなど、最近の世代のコンポーザーの一癖も二癖もある楽曲を、アンドレ・マルケスによる更に入り組んだビッグバンド・アレンジで解釈するという挑戦意欲が満々な作品。サンバ・ジャズのみならず、アフロ・ブラジル、マラカトゥなどのルーツ・ブラジル音楽要素を、ハファエル・アマランチのギターや、cl, ts, flute, tp, tbなど吹奏楽器による実験的な前衛ハーモニーにインプロヴァイズ、あるいは洗練研磨されたコンテンポラリーなタッチで塗り替え、見たこともない音像を繰り出してくるアンドレ・マルケスとグループ - ノネート・ヂ・カーザ。この前代未聞の旋律や鮮烈なサウンドに初々しくも真っ向から向き合うマルチナ・マラナの奮闘ぶりが伺える作品。ProAcの助成で制作、リリース・ライヴを母校タトゥイー音楽院で行っています。