ナザレー、ショパン、エリック・サティのようなクラシックから、ジャズ、そしてMPBの歌伴まで、多彩な作品を多く遺したピアノ奏者のジョアン・カルロス・アシス・ブラジル。2021年に心臓発作のため惜しくも76歳で亡くなりましたが、約20年前の2003年、レーベル - ビスコイト・フィーノのスタジオに在るスタインウェイで、4時間に渡るレコーディングを行なっていました。スタジオのコーヒー・テーブルで、映画監督フェデリコ・フェリーニとその劇伴を務めたニーノ・ロータについて語ったのち収録されて行った楽曲群は、透き通ったヴォイシングが魅力的なソロ・ピアノで、時にジャズ・インプロの緊迫感、若しくは心穏やかなサロン・ミュージック、これらが交互に波のように押し寄せるという大作となっています。自身が敬愛するアレクサンドル・スクリャービンやクラウス・オガーマン、モーリス・ラヴェルらにオマージュを捧げたもの、そして兄弟のサックス奏者ヴィトール・アシス・ブラジルら、ジャズへの言伝。21曲の瞬発力を持って生まれた美しいソロ・ピアノが20年の時を経て、いま陽の目を浴びようとしています。
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CÉSAR LACERDA / DÉCADA
ジョアン・ジルベルトをはじめ、ギター1台を爪弾き歌い出すだけで辺りの空気を一変させ、自身の表現の世界に惹き込むことのできる稀有なシンガー・ソングライターたちがこの世には存在しています。現地専門誌・メディアで2010年代に登場した注目すべきソングライターとして数えられるこのセーザル・ラセルダもそのひとり。1987年ミナス・ジェライス州ヂアマンチーナ出身で現在はサンパウロを拠点とするS.S.W.。2013年に1stアルバムをリリースして以来のキャリア10周年を祝う本作は、シンガーのフィリッピ・カットーが起案したプロジェクトで、ガル・コスタやマリア・ベターニアが歌ってセーザルのキャリアを大きく飛躍させたm-4"Minha Mãe"(ジョルジ・マウチネルとの共作)、ルイス・ガブリエル・ロペスやルイザ・ブリーナらミナス連邦大学勢と共作、L.G.ロペスのソロ作のタイトルにもなったm-5"O Fazer de Rios"、ボサ・カリオカ・スタイルのm-11"Espiral"は共作者のセウマールがアルバムで収録、と13曲中6曲が他のアーチストに提供した楽曲のセルフ・カヴァー。傑作「Tudo Tudo Tudo」に収録のm-2“Isso Também Vai Passar”やホムロ・フローエスとの共演作「O meu nome é qualquer um」に収録のm-8"Faz Parar"、「Paralelos & Infinitos」に収録のm-9"Touro Indomável"など自身のアルバムに収録された佳曲も、声とギターのみのヴァージョンで再解釈。パートナーのヴィクトリアと敬愛する詩人のレオナルド.フローエスに捧げたm-7"O Amor Fincou Raizes Por Aqui"など、気候変動や紛争で揺れ動く世界に光の筋を与えんと書かれた新曲も2曲。ひとつの楽器、ひとりの声、で作り上げた作品だからか、統一感があり、とてもコンセプチュアル。部屋の空気を柔らかくしてくれる極上の一枚です。2024年3月現在、LPとデジタルのみでのリリースとなっています。
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*木曜13時より、taiyorecord.com での先着購入申し込み順にて受け付けます。おひとり様1組のみの販売、輸入盤レコードのため輸送時のジャケット・ダメージがある場合もございます。ご了承ください。
1998年、当時66歳のジョアン・ジルベルトがサンパウロのセスキ・ヴィラ・マリアナで行った2時間ほどのライヴ。リオはレブロンのアパートに電話も持たずに篭り、ミステリアスな生活をしているこのボサ・ノヴァの神が、いつものように古いサンバとボサ・ノヴァのクラシックを混じえ、艶のある声と柔らかく自在なギターのバチーダを大観衆の前に響かせたショーの丸々がDATテープに丸々遺されていました。2019年にビル一面に描かれたジョアンへのオマージュ壁画をカヴァーに纏い、即完売となったCDに続いて、アナログ・レコードで商品化。"Corcobado"、"Meditação"、"Desafinado"、"Wave"、"Samba de Uma Nota Só"、"Chega de Saudade"といったジョビン作の有名曲から、"Doralice"や"Rosa Morena"といった同郷ドリヴァル・カイミの名曲、ショーロの名曲"Carinhoso"(ピシンギーニャ作)、 ウィルソン・バチスタ作"Louco"やビヂ=マルサル作"A Primera Vez"などのサンバ・クラシコ...ここに収められた36曲には、この頃のショーのスタンダード・レパートリーだったにも関わらず音源作品としては初出となる"Rei Sem Coroa"(エリヴェルト・マルチンス=ヴァルデマル・ヘスヘイサォン)が収録されています。
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夜の静けさに包まれるまろやかなストリングスと、星の瞬きのように輝くピアノの音色でおだやかに幕を開ける「Far-Faraway」、グレッチェン・パーラトの吐息まじりの歌声から一瞬の静寂に包まれるヴィニシウス・ヂ・モライス作の名ワルツのカヴァー「Valsa de Eurídice」、夜更けの穏やかなピアノとギターの調べがブラジル音楽への憧景をナチュラルな音色で描く「Caminhando no Calçadão」、切なさと希望がひとつになった長い星の一生を描くようなカルロス・アギーレの書き下ろしによる長編「Estrella」を収めた「estrellaサイド」。
ビル・エヴァンスが作曲した楽曲をフルートが清らかに奏でる室内楽の小品「My Bells」、アルバム『From Left To Right』のエンディングに収められたエヴァンスの慈愛に満ちた優しさが感じられる「Children's Play Song」、本作のテーマである「Soiree」を象徴する初代パット・メセニー・グループのメンバーでもあったドラマーのダニー・ゴットリーブが、なぎの海にさざ波が打ち寄せるような繊細なブラシでスネアを撫でリリカルに描く「Soiree」 、
パット・メセニーとライル・メイズがビル・エヴァンスに捧げた名曲をカルロス・アギーレとキケ・シネシがこのアルバムのためにブエノスアイレスで録音してくれた「September Fifteenth- dedicated to Bill Evans」を収めた「soiree サイド」。
すべてが繊細で美しく輝く楽曲を選りすぐりました。(〜メーカー資料より)
《収録曲》
Side-A 「estrella / -星の輝き-」
01. Far-Faraway / Klaus Mueller
02. Valsa de Eurídice <feat. Gretchen Parlato> / Nilson Matta
03. Caminhando no Calçadão / François Morin
04. Estrella (entre el espacio y la luz) / Carlos Aguirre
Side-B 「soiree - dedicated to Bill Evans / ソワレ - ビル・エヴァンスに捧ぐ-」
01. My Bells / Paul Liberman
02. Children's Play Song / Tony Gould
03. Soiree / The Danny Gottlieb Trio
04. September Fifteenth - dedicated to Bill Evans / Carlos Aguirre & Quique Sinesi- Compiled by bar buenos aires
昨年10月にコロナ禍以降、久しぶりとなる来日公演をコットンクラブで行ったダニ&デボラ・グルジェル・クアルテート。写真家としての顔も持つダニ・グルジェル(vo)、ジャズ・ピアノの講師でもあるデボラ・グルジェル(p)の母娘に、ダニの夫でセーザル・カマルゴ・マリアーノをはじめ多くの音楽家との共演経験を持ち、スタジオの運営も手掛けるチアゴ・ビッグ・ハベーロ(drs)、そしてチアゴとのリズム隊で多くのジャズ作品に参加するシヂエル・ヴィエイラ(b)。彼女たちの暮らすサンパウロを拠点に、ジャズ・ミュージシャンやシンガー・ソングライターたちが集い、レジェンダリーなスタンダードや名曲に限らず、同世代の優れた作品を採り上げ、表現するショー・シリーズ「ノーヴォス・コンポジトーレス」は新たなブラジル音楽の潮流として、ここ日本でも紹介して参りました。そんなダニ&デボラ・グルジェル・クアルテート(以下、DDG4)の新作は、来日時にショーで語っていた通り、ビッグバンド編成。ベース、シヂエルの弟であるシヂマール・ヴィエイラ(tp,fl) を含む、5本のサクソフォン、4本のトロンボーン、4本のトランペット、さらに2本のフルートという大所帯で、母娘名義でリリースされた「ホドーピオ」や、DDG4のアルバム「ウン」「ルース」「ガーハ」などから、変拍子が特徴的な"36-47"や、チック・コリアから掛けられた言葉に着想を得た"Quiet Little Lady"、ライヴでもお馴染みの楽曲をビッグバンド仕様に編曲。一つの楽器のようにアンサンブルのなかスキャットを響かせるダニや、それぞれのパートの目を見張るほど鮮やかな即興演奏、聴きどころ満載の一枚。"Veredas"には、天才ベース奏者として少年期から世界的に注目されるミカエル・ピポキーニャがゲスト参加、最終曲"Dá Licença"ではダニのファースト・ソロ作にも参加していたナタリー・クレスマン(tb)をフィーチャー。
《TRACKLIST》
1. Três Luas (Debora Gurgel)
2. Garra (Debora Gurgel/Dani Gurgel)
3. 36-47 (Debora Gurgel/Big Rabello)
4. Podicrê (Debora Gurgel/Dani Gurgel)
5. Rodopio (Debora Gurgel)
6. Luz (Debora Gurgel)
7. Quiet Little Lady (Debora Gurgel)
8. Adagio - Sem Fronteiras (Debora Gurgel) 9. Sem Fronteiras (Debora Gurgel) 10.Veredas - feat. Michael Pipoquinha (Debora Gurgel)
11. Dá Licença - feat. Natalie Cressman (Debora Gurgel/Dani Gurgel/Big Rabello)
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1967年に発表されたガル・コスタ&カエターノ・ヴェローゾ「Domingo」。ふたりのソロ・アルバム制作に先駆けてレコーディングされた本作は、リーディング・トラックの放浪する心="Coraçnao Vagabundo"に始まり、ボサ・ノヴァの神様ジョアン・ジルベルトもレパートリーにする"Avarandado"、66年の歌謡フェスティヴァルで最優秀歌詞賞に輝いた"Um Dia"、バイアーノの郷愁、アイデンティティを歌に籠めた"Quem Me Dera"など、カエターノがガルに提供する意味合いで書かれた名曲の数々と、エドゥ・ロボ"Candeias"、シヂネイ・ミレール"Maria Joana"、ジルベルト・ジルとジャーナリストのトルクァート・ネトの共作"Minha Senhora"、"Zabele"など、ギターや木管を中心としたスモール・アンサンブルと少しのパーカッション、アンニュイなガルとカエターノの歌声、まさしく日曜("Domingo")の午後のゆったり気怠く流れる時間を満喫できる、ブラジル音楽史に輝く名作。
A1 Coração Vagabundo 2:25
A2 Onde Eu Nasci Passa Um Rio 1:59
A3 Avarandado 2:44
A4 Um Dia 3:12
A5 Domingo 1:25
A6 Nenhuma Dor 1:33
B1 Candeias 3:12
B2 Remelexo 1:54
B3 Minha Senhora 4:15
B4 Quem Me Dera 3:23
B5 Maria Joana 1:41
B6 Zabelê 2:48
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【セルジオ・サントスの曲をやっていたり、全編をポル語などの外国語歌詞やスキャットで収録するなど(日本語詩の雪の降る街を、がありますが)語感的にも、またもちろん透明感のある音使いも勿論、私のところで扱っているアルバムたちとの共通項を多く感じました。車で出掛けた時にじっくり聴いたのですが郊外の風景とマッチしていました。】 ー 大洋レコード伊藤亮介
鈴木惣一郎 g,per / 安宅浩司 banjo,steel g, b / 伊賀航 b,cello / 藤原マヒト acc, synth / 武嶋聡 cl,flute,sax / 田中祐司 vib,p,ep / 神田智子 vo,ピアニカ / 中島久美 viola,vln / 信太美奈 cho / レイチェル・ダッド cho / ヴィグ・スミス kora, cho
丁寧に作り込まれた完璧な音世界。おすすめです。
【迷宮にざわめく雑多な音の中から鈴木惣一朗が見つけた『シレンシオ』の道は、 後から来る人への貴重なガイドとなるだろう】 ー 細野晴臣
細野晴臣氏のプライヴェート・レーベル「デイジーワールド・ディスク」からリリースした最後のアルバムとなった2010年作、通算9枚目のアルバム『シレンシオ』。発売当時、細野晴臣氏が上記コメントを寄せて絶賛した静かなる傑作が、多くのリクエストに応えてアナログ・レコードとして再発されます。
作品の根幹となるのはカルロス・アギーレやルス・デ・アグアなどアルゼンチン音楽へのオマージュ。アルゼンチンからブラジル〜ミナス、そしてポルトガル〜カポ・ヴェルデを経由したさまざまな国の音楽を吸収し、2年以上の制作期間をかけ、ワールドスタンダードにしか創り得ない音世界を描き出した本作。アナログ・レコードならではの音で、今改めて聴いてほしい「静かな光のエキゾティシズム」の音楽がここに。
初レコード化にあたりオリジナル・マスターから改めてリマスタリング。柔らかな音色と奥行きのある音像は、静けさの向こうにある情感を豊かに伝えてくれます。さらに、鈴木自身が寄せた2023年版ライナーノーツは『シレンシオ』のアナザー・ストーリー的な内容。激しく移り変わるシーンで、多くの人に変わらず愛聴され続けるこのアルバムの現在地を示します。 (メーカー資料より)
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モノクロームな無声映画の劇伴のように映像を喚起する音世界、コントラバスとクラリネットやマリンバで彩るデカダンスからロマンチシズム、そしてフィールド・レコーディングや自作楽器にチープな幼児楽器のトーンが醸し出すユーモラスまで、金沢、京都、東京、北海道、ウズベキスタン、ミラノ、様々な土地でレコーダーによって収録された雑踏のノイズや、気の置けない仲間とのセッション、5年に渡る音の旅をコラージュして仕立てた楽曲たち。私個人としましては、ブラジルで動物や鳥の鳴き声を元にした楽曲制作や、フィールド・レコーディングとソロ・ピアノで唱歌をリノベイトしたファビオ・カラムルーの諸作、音と音の間を用いて独特の世界観を築いたアルゼンチンのウリセス・コンティの諸作や彼がプロデュースした異業種からの音楽家諸作、それらと通じる"音への美意識"を強く感じる作品となっています。[特典ポストカード付き]
mama!milkの清水恒輔、初のソロ・アルバムをLPレコードでリリース。
水蒸気の如く吹き上げられる穏やかで真摯な熱情と、丁寧に紡がれた軋みのレイヤー
具体音の底から届けられる一筋の旋律が、ただただ美しく、儚く響く
真摯な演奏家の奏でる音、耳元で聞こえるような日常の音、騒音とも言える機械の音。
自分か好きな音だけを蒐め、あの手この手を尽くして楽曲に仕立てました。
あてどなく作ってきた音源集を、ようやく世に放つことが出来てとても嬉しいです。
行ってらっしゃい、MICROMACRO。−清水恒輔−
清水恒輔:コントラバス、チェロ、バスクラリネットetc.
曽我大穂:フルート、カバキーニョetc.
巽勇太:自作装置
生駒祐子:カシオトーン、マリンバ、アコーディオンetc.
Gak Sato:スネアドラム
林正樹:ピアノ
市原大資:トロンボーン
守屋拓之:コントラバス
yatchi:ピアノ
窪田健策:テルミンetc.
武島悟:クラリネット
WADA MAMBO:ギター
安藤健二郎:バスクラリネット
谷口かんな:マリンバ
マスタリング 西川文章
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マルチ奏者ぶりが光るブラジル屈指の現役ピアノ奏者アンドレ・メマーリの自作曲に、フランソワ・モランとの共作タイトル曲、北欧トラッドを思わせる瞬間に、レニーニ作"O Silêncio Das Estrelas"を英語詩にしたもの、カイピーラ・ギター奏者として、またベース奏者としても参加するネイマール・ヂアスの清廉漂うインスト楽曲に、ドリ・カイミ"Rio Amazonas"、ベルギー出身のシンガー、デヴィッド・リンクスらフランスで活動するミュージシャンから、前述のブラジル勢まで参加して作りあげた、美しい響きの詰まったアルバム。
<旋律を奏でるドラマー”、フランソワ・モランの10年振りの新作が、日本限定でフィジカル・リリース。>
繊細なテクニック、軽やかなグルーヴ、ダイナミズム溢れる表現力を備え、まさに「旋律を奏でるドラマー」と例えるのがふさわしいフランス人ドラマー/コンポーザー/プロデューサー、フランソワ・モラン。フランスを中心にヨーロッパのジャズ・シーンで活躍し、2010年にブラジルに移住。
アンドレ・メマーリ、セルジオ・サントス、タチアナ・パーハ、イヴァン・リンスなどミュージシャンとの交流を経て作り上げた名作『ネッサンス』(2012年)から10年。フランスに活動拠点を戻し、ブラジルとフランスを代表するトップクラスのミュージシャンを招き2022年に配信限定でリリースしたセカンド・アルバム『パーティキュルス』が、独占ボーナス・トラックを加えて日本限定でCD化。
2023年夏、音楽フェス『Fruezinho』に出演したアマーロ・フレイタス・トリオのドラマーとして初来日。その後のアマーロのヨーロッパ・ツアーにも参加するなど、そのドラムは多くのミュージシャンを魅了し、信頼を得ている。10年振りのセカンド・アルバムとなる本作では、長年親交のあるブラジルとフランスのトップ・ミュージシャンを迎えて、洗練された中に時に野性味すらも感じさせる豊かな演奏を聴かせてくれる。(メーカー資料より)
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リオで自作のサンバを売りながら応援するサッカー・チームの不甲斐無さを酒場で憂う、典型的ボヘミアンな生活を送ったウィルソン・バチスタ。55歳にで亡くなるまでブラジル著作権協会で働きつつ、550曲ものサンバを作曲したそうですが、60年代当時に黒人系音楽家の評価は高くなく、テルマ・ソアレスという女性歌手のためにオープンリールに吹き込んだ彼の楽曲も、急遽海外に飛んでしまったテルマのお蔭で、結局陽の目を浴びることはありませんでした。ジョアン・ジルベルトのレパートリーにもなった"Louco(Ela é o seu mundo)"をはじめ、のちにパウリーニョ・ダ・ヴィオラや本作にも参加するクリスチーナ・ブアルキが、ウィルソンの書いた楽曲を発掘し、その素晴らしさに気付かせてくれるようになりますが、本作ではそのテルマのために作ったデモから7曲の未発表曲を新たに発掘、(モニカ・サウマーゾによるdisc1-5 "Calúnia", リヴィア・ネストロフスキー(vo) とジョアン・カマレロ(g) のdisc2-4"Boato de felicidade", マルコス・サクラメントの演るdisc2-5"Fui olhar nos teus olhos", モイゼス・マルケスによるdisc2-14"Minha infância", ウィルソン・バチスタ本人の復元されたヴォーカル・トラックとマイラ・フレイタス(vo,p)が共演するdisc2-9 "Sossega a moringa / O bom é ele" , パウロ・アラガォンのgとエドゥ・ネヴィスのtsにフイ・アルヴィンのclなどをオーバーダブしたdisc2-13"São Paulo antigo") 様々な世代の音楽家がウィルソンの作ったサンバの新たな魅力に気づかせてくれます。上記以外に著名な音楽家ですと、ジョアン・ボスコdisc1-14"O pedreiro waldemar"、ドリ・カイミdisc2-2"Meus vinte anos"、ネイ・ロペス&ジョイス・モレーノ"Copacabana a noite / Gosto mais do salgueiro"、若き世代ではアイルトン・モンタホイオスdisc1-6"Amor que maltrata"の名も。保存状態の良くないマスターテープからノイズを除去し、パウロ・アラガォンのギター・アレンジや、べべ・クラメールのアコーディオンなど現代のアレンジを加えたウィルソン・バチスタのオリジナル・トラックへの唯ならぬ愛情、そして参加した音楽家たちのリスペクトに富んだ演奏。2023年最大のオマージュが贈られたサンバ作品であると云えます。
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女性S.S.W.として活動してきたセウが、インタプリーターとして挑んだ初のアルバム。先行シングルとしてカットされたヒタ・リー"Chega Mais"、タイトル・トラック"Um Gosto de Sol"はミルトン・ナシント作、アントニオ・カルロス&ジョカフィ"Teimosa"、アルシオーネの歌った"Pode Esperar"など70年代のブラジル佳曲から、イズマエル・シウヴァの古いサンバにジミ・ヘンドリックス"May this be love"、ミレニアム前後のビースティー・ボーイス"I don't know"にフィオナ・アップル"Criminal"、ブラジルではグルーポ・ヘヴェラサォンのパゴーヂ"Deixa Acontecer"にはエミシーダがゲスト参加し、と米/伯様々な年代の楽曲を収録。これら選曲はセウ本人とその父エヂガルド・ポサス、プロデューサーのプピーロ、三者間の協議によるもの。プピーロによる骨太なサウンド・プロダクションとアンドレアス・キッセールの7弦ギターがブラジルらしいサンバ的な音作りを形成し、そこに華やいだセウの唄声が載ると、これはもうセウの音ですね、としか言いようがない、独特の世界観が繰り広げられています。
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アート・カヴァーでカルトーラが持っているエスプレッソ・カップが緑、ソーサーはピンク。これは冒頭のタイトル・トラック"Verde Que Te Quero Rosa"(直訳:ピンクにしたい緑)と呼応し、マンゲイラのチーム・カラーのことを指しています。 ハダメス・ニャタリがピアノとアレンジをかって出たカルトーラ自作の"Autonomia"、作者のネルソン・カヴァキーニョとのデュエット"Pranto de Poeta"は多くのアーチストがカヴァーするサンバ・クラシックとなりました。ドラムにはウィルソン・ダス・ネヴィス、クラリネットとソプラノ・サックスでアベル・フェヘイラ、多くの名プレイヤーと共に作り上げられたサンバ名盤。
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リオ出身のドラム奏者/パーカッショニストで、ジャキス・モレレンバウム(vln,cello)や兄弟のムリ・コスタらと共に1973年に結成されたバンド - ア・バルカ・ド・ソルでの活動を皮切りに、マリーザ・モンチやカエターノ・ヴェローゾら多くのMPBアーチストのバックで活躍してきたマルセロ・コスタ。自身のキャリアを振り返るように豪華な客演陣に恵まれたソロ1作目「Vol.1」は国内盤としてリリースされ話題となりました。4年を過ぎてリリースされる本作「Vol.2」でもマルセロ・コスタに作品を支えられた多くの音楽家、今回は本人歌唱のm-2とネイ・マトグロッソを除き、全員女性シンガーのみフィーチャーされています。ダヂ・カルヴァーリョを従えたマリーザ・モンチ m-3"Tão Só "、ペドロ・サー(eg)とアルベルト・コンチネンチーノ(b)、そしてホベルタ・サーのm-4"Deixei Recado"、偉大なボサ・ノヴァ詩人ヴィニシウス・ヂ・モライスの孫娘マリアナ・ヂ・モライスm-6"Se Você Disser Que Sim"、マリア・ベターニアm-8"Numero Um"、サシャ・アンバッキ(p)と共にジュサーラ・シルヴェイラm-9"Nervos de Aço"、マウロ・ヂニス(per)を伴ったテレーザ・クリスチーナm-10"Você Me Abandonou"、カエターノ曲"Esse Cara"を歌うパウラ・モレレンバウムm-10まで、古いサンバにドリヴァル・カイミ、エルトン・メデイロス、ルピシニオ・ロドリゲスらのブラジリダーヂ溢れる楽曲を華やかにプレイ。まるでMPBのサニー・サイドを辿っているかの錯覚に陥る一枚です。非常に高いポテンシャルを誇る本盤、気を取られてるうちに、あっという間にアルバムが終わってしまうのが惜しいところ。
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